薄板加工とは、板厚1mm以下の金属･非金属の板に対して、抜き加工（ブランク加工）・曲げ加工・絞り加工（プレス）・溶接・組立などを行い、任意の形状を得る加工技術のことを指します。一般的には精密板金に分類されますが、精密板金という概念は板厚の範囲も広く、さらにその定義も言葉を使う人や業界によって様々です。薄板板金という言葉についても微細加工という言葉と同様、何mm以下と数値が決まっている訳ではありませんが、ここでは板厚1mm以下の板金加工という事で定義します。

薄板加工という技術は、一般的な板金加工の技術と比較しても基礎的な部分は変わらず「塑性加工」の分類に入ります。近年では、電子部品・電子機器をはじめ、医療などの先端分野に薄板板金部品が使用されることも多く、機械加工と同程度の加工精度が要求されることも増えてきております。
これらの部品は薄く・小さく・精密なものが大半で、加工中の製品の取扱いにも注意が必要となります。

薄板のブランク加工を行う場合、一般的なレーザー加工機を用いて加工してしまうと、熱影響を受け大きな歪みが発生します。これは溶接においても同様であり、板厚が薄いほど熱による影響を受けやすく、歪みも大きくなります。さらに曲げ加工では、小型ベンダーや専用の金型が必要であったり、検査においても目視やノギスだけでは測定できない精度要求もあります。このように薄板加工は、専門性が求められる要素も多く、必要な技術・知見・設備も大きく変わってきます。